研究テーマ

〜ARやVRのその先へ〜

私たちは人間に特に関心があり、人間の能力を向上させて生活を豊かにするための研究に取り組んでいます。その立場から、主にセンシング、ディスプレイ、インタラクションに関わる研究を行っています。詳しくはこちらをご覧ください。

実際には、これら3つの分野にまたがった複合的な研究テーマが多く、ディスプレイハードウェア、人間拡張、マルチモーダル (多感覚) インタフェース、認知・心理的影響、可視化・メディア処理、などの研究プロジェクトに分けられます。

ディスプレイハードウェア

拡張現実(AR)やバーチャルリアリティ(VR)に用いる、これまでにないディスプレイハードウェアに関する研究です。具体的には、人間の眼に匹敵する広視野のヘッドマウントディスプレイ(HMD)や、現実環境に影を落とすなどリアリティの高い表現が可能な光学シースルーHMD、スマートフォンなどを組み合わせて必要な視野のみに柔軟に映像を提示するHMDなどを開発しています。

※ 他にも多くのプロジェクトがあります。

人間拡張

人間の能力を拡張し、できなかったことをできるように支援するための研究です。具体的には、巨人になった感覚で広い環境での作業を支援するシステム、ゲームのように自分を三人称視点で見ながら歩き回れるシステム、視界を変調して集中力を向上するゴーグル、目が不自由でもひとりで買い物ができるシステム、未来を予知して可視化するゴーグル、眼を凝らすと自動でズームするゴーグル、などを開発しています。

※ 他にも多くのプロジェクトがあります。

マルチモーダル (多感覚) インタフェース

視覚や聴覚だけではなく、味覚や力触覚など多感覚の提示を行うための研究です。具体的には、電気刺激によりラバーバンド錯覚を増強するシステム、バーチャル球技のための空中で撃力を提示するデバイス、視覚と触覚の提示方法を工夫して自分自身をくすぐることのできるデバイス、空中に浮いたり空を飛んだりしているように感じさせるシステム、実際よりも大きな運動をしているように感じさせるデバイス、食べ物の見かけを変調して味覚を操作するシステム、空中でバーチャル物体の重さや手触り、手応えを感じさせるデバイス、満腹感や蒸し暑さを感じさせるデバイス、座ったままで歩いているように感じさせるデバイス、などを開発しています。

※ 他にも多くのプロジェクトがあります。

ユーザインタフェース

様々な先進的メディア処理を活用したユーザインタフェースに関する研究です。手のひらに遠方のIoTデバイスを透過的に表示して操作するタッチインタフェース、ウェブブラウザの要素を積み木のように組み立ててページの要約を作成できるVRインタフェース、感情モデルを備えて周囲環境を認識するARペット、などの研究を実施しています。以下のプロジェクト例は、短期のインターンシップで開発されたものも含みます。

※ 他にも多くのプロジェクトがあります。

認知・心理的影響

様々な視覚刺激を与えて、その認知・心理的影響を調べる研究です。具体的には、身体を傾けて低重力を知覚させられないか調べる研究、家電が生き物のような振る舞いをすればお手入れの不快さが軽減するのかを調べる研究、曲面の起伏が変化するシンプルな動きでどのように生き物らしさを知覚するのかを調べる研究、表情やしぐさを変調してコミュニケーションが円滑になるかを調べる研究、スマートグラスに提示される情報が後の行動に与える影響を調べる研究、不快感を与えずにユーザの視線を誘導する研究、自身の理想像に近づく行動を促すための映像効果を調べる研究、VR体験をより信じられるようにするための体験開始時の映像効果を調べる研究、ARの注釈表示の気づきやすさや見やすさを調べる研究、などを実施しています。

※ 他にも多くのプロジェクトがあります。

可視化・メディア処理

映像などのメディアの新しい見せ方や処理の仕方に関する研究です。特に、ARやVRでの応用を志向したものが多いです。具体的には、不要な実物体を視界から消す隠消現実の品質を向上する研究、周囲の環境を認識してよりリアルに地震や火災のARシミュレーションを行う研究、深層学習で映像と言語の特徴を対応付けしてビデオ映像を理解する研究、印字されたドット文字を認識する研究、再構築した三次元モデルをGPUで高速に描画する研究、位置ずれのまったくない屋外ARシステムの研究、などを実施しています。

※ 他にも多くのプロジェクトがあります。

センシング

人間や環境をセンシングする手法に関する研究です。センシングの対象は多岐にわたり、人間の位置・行動・生理状態、環境の幾何形状・光源環境、など様々なものが対象になります。具体的には、水中の物体の位置や姿勢をIMUのみで高精度に推定する手法などを研究しています。なお、ここで挙げるセンシング技術のみを対象とする研究以外にも、他のカテゴリに挙げている多くの研究においてセンシング技術は幅広く用いられています。

※ 他にも多くのプロジェクトがあります。

競争的資金による主なプロジェクト

外部資金を得ている主な研究プロジェクトの一覧です。

  • 日常生活におけるアルツハイマー病治療のための頭部搭載型無知覚光刺激デバイスの開発
    • 科学研究費補助金 挑戦的研究(萌芽) (2022.06 – 2024.03)
    • 代表者: 清川 清
    • 分担者: 森本 壮 (阪大)
    • 概要: 日常生活を妨げずに実施できる安価で安全なアルツハイマー病(AD)の治療法の確立を目指して,平均40Hzの脳波パタンであるガンマ振動を促進する頭部搭載型の知覚されにくい光刺激デバイスを開発する.ガンマ振動は注意や記憶などの高次認知機能に関連し,ADでは弱まっている.近年,40Hzで明滅する光刺激でガンマ振動を促進し認知機能を回復する光刺激療法が注目されている.しかし,既存の光刺激は明滅が明瞭に知覚され煩わしい.そこで,本研究では光刺激が知覚されにくく日常生活を送りながら使用できる軽量小型の頭部搭載型光刺激デバイスを開発する.具体的に,1)画素ごとの輝度と網膜偏位角を考慮して視点依存で輝度を調節することで,任意の映像コンテンツに無知覚で40Hzの光刺激を埋め込むHMD,2)2セットのLED群を交互に明滅させ,実際には40Hzで明滅しているが定常的な白色光として知覚される周辺視野のみへの光刺激デバイス,の2つを開発し健常者で無知覚性や安全性を評価する.これらにより日常生活で継続的に施術でき,高い治療効果が期待される.本研究は,そのような画期的なアルツハイマー治療法の実現に向けた第一歩となる.
  • 日常生活の持続的視覚支援のための眼を見守るスマートグラスの開発
    • 科学研究費補助金 基盤研究(A) (2022.04 – 2026.03)
    • 代表者: 清川 清
    • 分担者: 内山 英昭, 磯山 直也, 森本 壮 (阪大), 広田 雅和(帝京大)
    • 概要: 申請者は、正常視から全盲までの多様なユーザがスマートグラスを長期に渡って持続的に使用する未来を確信している。ユーザがスマートグラスを掛けただけで、眼の状態に合わせて日常生活に必要な視覚支援を享受するには、スマートグラス自体がユーザの眼の状態を調べたり、ユーザに必要な支援を察知したりする必要がある。そこで本研究では、1)日常生活を過ごすだけで完了する全自動視機能検査手法、2)ユーザの見え方に配慮し、ユーザや周囲の状況を察知して必要な支援を選択する支援決定モデル、3)決定した視覚支援を、HMDによる視機能矯正、視覚拡張(AV)による視覚機能の補完・増強、重篤な視覚障害向けの人工網膜などを適宜選択・切替えて提示する情報提示手法、の3点を開発・統合し「眼を見守るスマートグラス」を実現する。視機能の全自動検査は画期的で、家庭で簡易検査ができるなど医学的意義が大きい。必要な支援を察知して、視機能の状態を考慮して視覚支援する試みも斬新で、自助手段として社会福祉的意義が大きい。
  • 人・モノの存在感を減衰するノイズキャンセリングHMDの開発とその有効性の評価
    • 科学研究費補助金 基盤研究(B) 21H03483 (2021.04 – 2025.03)
    • 代表者: 酒田 信親 (龍谷大)
    • 分担者: 河合 紀彦 (大工大), 佐藤 智和 (滋賀大), 清川 清, 磯山 直也
    • 概要: 本研究は自分の視界をコントロールする研究として混雑環境下での視界中の人混み、もしくは、ある指定した人(達)以外の周囲の環境を視覚的ノイズとみなし、それらの存在感を減衰し、ストレス軽減や集中力向上を支援する視覚的ノイズキャンセリングヘッドマウントディスプレイ(NCHMD)の開発と有効性の評価を行う。視覚的ノイズとみなした群衆や周辺の環境をボケ、モザイク、モノクロ処理、縮小表示、半透明処理によって存在感を減衰した映像をHMDで被験者に観察させ、不快感の緩和度や集中度を計測し、ストレス軽減や集中力向上の可能性があるかを明らかにする。
  • Development of Cognitive Symbiosis in Virtual Agents to Improve Remote Classroom Learning Outcomes
    • 科学研究費補助金 基盤研究(B) 21H03482 (2021.04 – 2025.03)
    • 代表者: ORLOSKY JASON (阪大)
    • 分担者: 白井 詩沙香 (阪大), 清川 清
    • 概要: In this research, we propose a unique class of virtual agents that resonate with a user’s (learner’s) actions and emotions. To do so, we focus on three things: 1) Tailoring the virtual agent’s appearance, positioning, and interaction to the user, 2) building feedback that is responsive to the user’s mental state, and 3) facilitating a long-term, trusting relationship with the agent. Unlike a game or wearable health tracker, this symbiotic training process allows the user to build deeper trust with the agent, and his or her learning will benefit from that relationship.
  • ヘッドマウントディスプレイを用いた視知覚矯正・補助フレームワークの構築
    • 科学研究費補助金 基盤研究(A) 18H04116 (2018.04 – 2022.03)
    • 代表者: 清川 清
    • 分担者: 酒田 信親, 河合 紀彦, 佐藤 智和 (滋賀大), 不二門 尚 (阪大), 神田 寛行 (阪大), 長井 志江 (NICT)
    • 概要: 網羅的・統一的に視覚拡張(AV: augmented vision)の方法論を確立するために、眼機能・脳機能のレベルから視知覚を生み出す全プロセスを見つめ汎用的AV基盤技術を開発する。そのため、視知覚を生じる一連のメカニズムをデジタル画像処理における射影変換や時空間画像フィルタのアナロジーで捉え、その逆問題を解く計算論的アプローチにより、汎用的な枠組みで典型的な非定型視知覚の体験者に定型と等価な視知覚を生じさせること(視覚矯正・補助)を目指す。具体的には、眼位矯正HMD、網膜像矯正HMD、視覚過敏補助HMD(スマートサングラス)を開発する。本研究で得られる高精度視線推定、実時間収差補正フィルタ、画素単位で調光可能な小型HMDなどの技術は、任意の視知覚を自在に生み出す汎用的AVの基盤となる。また、適切な矯正・補助手段がない視知覚症状に対して手軽で正確な検査法の実現、発生メカニズムの解明、将来の新たな自助手段の提供などにつながり、医学的・社会福祉的な意義も極めて大きい。
  • 次世代拡張現実感のためのLight Field IO技術の確立
    • 科学研究費補助金 基盤研究(A) 15H01700 (2015.04 – 2019.03)
    • 代表者: 加藤 博一
    • 分担者: 浦岡 行治, 清川 清, 太田 淳
    • 概要: 次世代情報インタフェースとして、Light Field Display やLight Field Camera といった新しい光学デバイスが注目を集めるようになり、その研究は世界中で活発に行われるようになってきた。本研究課題で取り上げるLight Field IO とは、このLight Field Display とLight Field Cameraの光学素子を一体化させて作られたもので、これまでにない画期的な光学デバイスである。実用化も進んできた拡張現実感に次なるブレークスルーを与える技術について検討を行った結果、このLight Field IO 技術の発想に至った。本研究では、このLight Field IO 技術を用いた次世代拡張現実感の実現を目指し、その技術の確立を目的とする。その上で、Light Field IO 技術を用いた新たな拡張現実感システムを試作し、その有用性と優位性を実証する。
  • 修復と観測の融合に基づく隠消現実感の高度化
    • 科学研究費補助金 基盤研究(B) 18H03273 (2018.04 – 2022.03)
    • 代表者: 河合 紀彦
    • 分担者: 清川 清, 酒田 信親, 佐藤 智和 (滋賀大), 中島 悠太 (阪大)
    • 概要: 本研究課題では、現実空間を撮影したリアルタイムのカメラ映像からユーザの指定する実物体を視覚的に違和感なく消去する隠消現実感(DR: Diminished Reality)を実現するための基盤技術の構築を目指す。隠消現実感を実現するアプローチは、対象物体の背景を観測せず画像修復(Image Inpainting)に基づき尤もらしい背景画像を合成するアプローチと、対象物体の背景の観測に基づきImage-Based Rendering(IBR)により背景画像を合成するアプローチに大別されるが、本研究課題では、各従来手法で高品質な結果が得られなかったシーンに対処する。具体的には、背景画像・形状が複雑である、入力画像群の光学・幾何特徴が均一でない、画像中に占める対象物体が大きい、対象物体が動くといった、より多様かつ現実的な条件に対処する。これを実現するため、両アプローチのさらなる進化、両アプローチの融合による隠消現実感の高度化を行うとともに、その応用の評価を行う。
  • 非拘束インタラクションを実現する風力を用いた空中遭遇型力触覚提示に関する研究
    • 科学研究費補助金 基盤研究(B) 17H01780 (2017.04 – 2020.03)
    • 代表者: 黒田 嘉宏 (阪大)
    • 分担者: 吉元 俊輔 (阪大), ラサミー ポチャラ (阪大), 清川 清, 大城 理 (阪大)
    • 概要: 近年、ユーザが現実空間の様々な場所を歩き回りつつ映像とインタラクションする AR 環境が身近となっているが、力触覚フィードバックがなく現実感に乏しい。本課題では、力触覚提示デバイスを身につける、あるいは手に持つ必要がなく、さらにデバイスの作業空間に制限がない「非拘束インタラクション」を実現する。ユーザに先回りして反力を提示する遭遇型デバイスの問題として、デバイスが空間に固定(接地)されること、触感を変えることが難しいことが挙げられる。本課題では、通称ドローンと呼ばれる UAV を用いた空中遭遇型の力触覚提示を提案し、空中で効果的に多様な触覚、力覚、形状を提示する方法論を確立する。
  • 持続的な4次元AR環境の構築
    • 科学研究費補助金 基盤研究(B) 16H02858 (2016.04 – 2019.03)
    • 代表者: 間下 以大 (阪大)
    • 分担者: 浦西 友樹 (阪大), 黒田 嘉宏 (阪大), ラサミー ポチャラ (阪大), 清川 清
    • 概要: 4 次元に変化し続ける実環境の計測とAR 環境の構築を継続的に行い、シミュレーションによって計測の予測や欠損の補完をすることで、スロー再生、計測範囲外の未来、過去など、4次元AR体験が可能でかつ、AR 環境の時間的、幾何学的、光学的プロパティを編集可能なAR システムの構築を目的とする。一般的なAR システムは時間的、空間的に変化しない環境を仮定している.対して本研究計画では、ユーザがAR 環境を4次元に操作し、過去や未来の世界がシミュレーションされ、実環境に整合して提示される。本研究ではこのような現実感を損なうことなく現実では体験できない4次元環境を提示し、かつユーザが環境を4次元に編集できる、画期的なARシステムを実現する。
  • 人工知能を利用した人工網膜の機能向上
    • 科学研究費補助金 基盤研究(C) 18K09445 (2018.04 – 2021.03)
    • 代表者: 神田 寛行 (阪大)
    • 分担者: 清川 清
    • 概要: 網膜色素変性に対する有効な治療方法は未だ確立されていない。人工網膜は網膜色素変性で失われた視覚を人工的に再建する医療機器である。眼鏡枠に設置したカメラで外界の画像を取得し、その情報を基に網膜に電気刺激を与えて人工的に神経活動を発生させる。既に臨床試験が実施され、対象物の位置の把握ができるようになる等その有効性が確かめられている。しかし現状の人工網膜は「解像度が低いこと(49画素)」や「色情報を再現できない」ことから、人工網膜の視覚だけでは日常生活をおくる上で不十分である。そこで本研究は、人工知能技術「ディープラーニング」を用いて人工網膜の機能向上を行うことを目的とする。具体的にはディープラーニングで元画像に映る対象物を音声で患者に伝えるシステムや、同技術を用いて元画像から対象物のみをハイライトさせることで人工網膜の見えやすさを向上させる画像処理法の開発を行う。本研究を通じて患者の生活に役立つ人工網膜の開発を目指す。
  • 実世界の仮想化に基づく高臨場VR型防災教育システムの開発
    • 戦略的情報通信研究開発推進事業 (SCOPE) 重点領域型研究開発(ICT重点研究開発分野推進型 3年枠) (2018.04 – 2021.03)
    • 代表者: 佐藤 智和 (滋賀大)
    • 分担者: 畑山 満則 (京大), 清川 清, 中河 嘉明 (国立環境研究所), 姫野 哲人 (滋賀大), 田中 琢真 (滋賀大), 岩山 幸治 (滋賀大)
    • 概要: 火災・洪水・土砂災害などの災害を対象とした防災教育における次の2点の課題を解決することを目的とする。1) 個々の住民に居住環境に応じた適切なリスク判断をさせるための教材がない、2) VR型防災教育システムにおける現実感が乏しく防災教育の効果が低い。そこで、VR 型防災教育システムの構築を前提に、居住環境を仮想化するための技術開発、避難経路上のリスクを算出するための技術開発、学習効果の高い高臨場感 VR 型防災教育システムの開発を行い(フェーズ I)、これらを統合した試作システムによって防災教育の効果を検証する(フェーズ II) 。
  • 協調作業における視線情報の可視化
    • 東北大学 電気通信研究所 共同プロジェクト研究 H29/A19
    • 代表者: 清川 清
    • 分担者: 北村 喜文 (東北大), 高嶋 和毅 (東北大), 酒田 信親
    • 概要: 他者の視線の動きを把握することは協調作業に有用であることが指摘されている。本研究では、共有スクリーンに議論の対象となる情報を提示する協調作業において、参加者が今現在どこに注目しているのか、過去にどこに注目していたのかなどを示すことで、協調作業の質が改善するのかを定量的に評価する。同時に、最適な視線情報の可視化方法についても検討する。

過去の主なプロジェクト

  • 角膜フィードバックARの実現
    • 科学研究費補助金 基盤研究(B) 15H02738 (2015.04 – 2018.03)
    • 代表者: 清川 清
    • 分担者: 間下 以大 (阪大), 中澤 篤志 (阪大)
    • 概要: 光学シースルー式(OST)頭部搭載型ディスプレイ(HMD)を用いた拡張現実(AR)において、角膜イメージングによりユーザの実際の「見え」をARシステムのメインループの一部として取り込むことで、ユーザ体験を自動的に最適化する、まったく新しいARの構成法「角膜フィードバックAR」を実現する。角膜フィードバックARで初めて実現可能となる高度な機能として、眼球位置の実時間計測による(HMD映像が意図した位置からずれて見える)位置ずれの根本的解消、実環境とHMD映像のコントラストなどの自動評価、ユーザが何にどの程度注目しているかに基づく適応的情報提示、などを開発する。これらに適した新たな角膜像解析手法、最適なカメラ配置を備えた新たなOST-HMD、などを開発し、角膜フィードバックARを利用する際の要素技術を確立する。
  • 風力による空中拘束型力覚インタフェース
    • 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究 15K12082 (2015.04 – 2017.03)
    • 代表者: 竹村 治雄 (阪大)
    • 分担者: 黒田 嘉宏 (阪大), 清川 清, 大城 理 (阪大)
    • 概要: 本研究は、デバイスから風を出し、その反力をユーザに返すことで、バーチャルの物体の硬さや重さとしてユーザに力を感じさせる、あるいは誘導するための方向をユーザに力で教える手法の開発を行いました。特に利便性を高めるためにユーザが手指に装着することなく、手に持つだけで使用できるデバイスを開発し、それによってユーザに水平方向と回転方向について8割以上の正確さで方向を伝えることができ、特に回転方向については高い正確性と迅速な情報伝達が可能であることが確認されました。
  • 道具による把持物体操作のための疑似力覚提示に関する研究
    • 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究 15K12083 (2015.04 – 2017.03)
    • 代表者: 黒田 嘉宏 (阪大)
    • 分担者: 清川 清, 竹村 治雄 (阪大), 吉元 俊輔 (阪大)
    • 概要: 本研究は、より軽量で使いやすい力覚提示デバイスの開発を目的として、ユーザが装着する必要がなく手に持つだけで道具操作によりバーチャルの重さ体験を可能とする新たな方法論の開発を行いました。アプローチとして、手首や腕などで重さを支える並進力の再現は行わず、指に生じる皮膚感覚や手に生じる深部感覚のみを再現することとしました。具体的には、単一のモータにより駆動可能な回転機構により小型で装着不要のデバイスにより道具先端の重さをバーチャルで再現可能なデバイスを実現し、さらに道具操作におけるバーチャルの重量と現実の重量の関係を初めて明らかにしました。
  • 携帯端末を用いた in-situ AR環境構築に関する研究
    • 科学研究費補助金 基盤研究(B) 24300048 (2012.04 – 2015.03)
    • 代表者: 竹村 治雄 (阪大)
    • 分担者: 清川 清, 間下 以大 (阪大), 中澤 篤志 (京大)
    • 概要: 本研究計画では、ユーザが環境にいながらにして、物体や環境の復元、編集などを行う、in-situ AR 技術の開発を行った。復元した環境の編集を行うため、物体の幾何学的な性質である物体の形状だけでなく、テクスチャや光源環境といった、光学的な性質の推定手法を開発した。また、物体の編集を行うためのユーザインタフェースの開発を行った。研究を遂行した結果、時間に伴う環境の変化によって、カメラの位置推定や環境の復元が不安定になることがわかったため、それらの解決手法についての研究を行った。
  • ウェアラブル環境における視覚情報支援のための超広視野頭部搭載映像装置に関する研究
    • 科学研究費補助金 基盤研究(B) 22300043 (2010.04 – 2014.03)
    • 代表者: 清川 清
    • 分担者: 間下 以大 (阪大)
    • 概要: ウェアラブル環境で広視野への情報提示が可能なシースルーHMDを開発した。再帰反射性と光学透過性を両立する(再帰透過)新たなスクリーンを開発し、従来手法をウェアラブル環境に対応させた。また、超広視野での視線検出と利用者視点映像撮影を同時に実現する、超広視野頭部搭載ステレオアイカメラを開発した。さらに、実現した頭部搭載デバイスを用い、実際に広視野の情報提示の有効性や適切な情報レイアウト手法などについて評価実験を行った。本研究の成果は今後のウェアラブル映像機器の研究開発に有益な指針を与える。
  • 超広視野頭部搭載型映像装置を用いた協調作業に関する研究
    • 科学研究費補助金 特定領域研究 19024054 (2007 – 2008)
    • 代表者: 清川 清
    • 分担者: 竹村 治雄 (阪大)
    • 概要: 超広視野頭部搭載型ディスプレイ(Head Mounted Display, HMD)に関して、試作HMDであるHyperbolic Head Mounted Projective Display(HHMPD)のためのGPUを用いた高速なコンピュータグラフィックスの描画手法を開発した。また、 同装置を用いてVRウォークスルーシステムを開発して学術展示などで専門家より高い評価を得た。一方、超広視野頭部搭載型カメラ(Head Mounted Camera, HMC)に関して、双曲面ハーフミラーの形状に関する種々のパラメタの関係式を導き、それらのトレードオフについて検討した。また、求めた関係式を用いてミラーパラメタの選択とその結果得られる視体積形状や視野角などの情報を実時間で確認・検討可能なシミュレーションプログラムを開発した。さらに、実際に単眼の試作システムを開発し、利用者視点での広視野映像を撮影できることを確認した。さらに、得られた利用者の眼球映像を用いた実時間の視線検出システムの開発を行った。
  • 適応的かつ連続的な学習支援のためのユーザコンテキスト認識手法に関する研究
    • 科学研究費補助金 基盤研究(C) 19500148 (2007 – 2008)
    • 代表者: 竹村 治雄 (阪大)
    • 分担者: 清川 清, 間下 以大 (阪大)
    • 概要: 学習システム自身がユーザ自身やユーザ周囲の状況(コンテキスト)を的確に把握し、コンテキストに応じて学習コンテンツの提示内容や提示手法を動的に変更することで移動中の連続した学習を支援する、適応的かつ連続的な学習支援システムを対象とした研究開発を行った。
  • 複数の仮想空間をシームレスに接続するマルチビューポートインタフェースに関する研究
    • 科学研究費補助金 若手研究(B) 18700122 (2006 – 2007)
    • 代表者: 清川 清
    • 概要: 本研究では、3次元仮想空聞において、手が届かないあるいは見えない位置にある物体の移動や、そのような地点へのユーザ自身の移動を効率的に行うために、本来の描画領域(メインビューポート)とは別に、仮想空間内に枠を作成してその枠内を新たなビューポート(サブビューポート)として利用する新しいインタフェースについて研究した。

これら以外にも、様々なプロジェクトを実施しています。例としてスタッフの前任研究室(下記)の研究業績もご確認ください。これらに関連した研究を新たに実施することもできます。興味のある方はご連絡ください。

  • 大阪大学 竹村研究室のホームページ(清川の前所属)
  • 奈良先端科学技術大学院大学 旧横矢研究室のホームページ(佐藤、中島、河合の前所属)