CAREラボについて

研究室のミッション 〜ARやVRのその先へ〜

国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 (NAIST) 先端科学技術研究科 情報科学領域 サイバネティクス・リアリティ工学研究室(CAREラボ)のホームページにようこそ。

サイバネティクスは人とシステムを統一的に扱う学問のことです。リアリティ工学はバーチャルリアリティ(VR)、拡張現実感(AR)、複合現実感(MR)などを束ねた上位概念として、人間が感じるリアリティを工学的に操作する技術をすべて含む言葉として用いています。本研究室ではこれらのすべてを対象とし、特にセンシング、ディスプレイ、インタラクション技術について研究しています。

人はコンピュータが登場する遥か以前から、様々な道具を発明し、体の一部になったかのように使いこなすことで新しい能力を獲得してきました。本研究室では、ARやVR技術、人や環境のセンシング、感覚提示、ウェアラブルコンピュータ、コンテキストアウェアネス、機械学習、生体情報処理などの技術を駆使して、未来の道具を作り出すための研究を行います。特に、視覚を中心とした様々な感覚を操ることで、ひとりひとりに寄り添った「パーソナライズドリアリティ」を提供し、より便利に、より快適に、あるいはより安心して生活できることを目指します。こうした情報システムを通じて、すべての人々がそれぞれの能力を最大限に発揮して助け合う、インクルーシブな社会の実現に寄与したいと考えています。

研究室の略称であるCAREには、人をケアして寄り添うという意味も込められています。

本研究室は平成29年4月に発足した新しい研究室です。旧・視覚情報メディア研究室の資産を継承し、新しい課題に挑戦していきます。

研究室に興味のある方へ

NAISTは新しいことに挑戦したい人を応援する大学院だけの大学です。誰にでも門戸を開いてあなたの来訪をお待ちしています。

  • 研究テーマや業績を知りたい: 研究テーマ業績一覧のページをご覧ください。
  • 受験、訪問、問合せなどをしたい: 受験希望の方へのページをご覧ください。問合せフォームもあります。
  • 研究室の活動全般を知りたい: 新着情報は最上部の研究室ロゴをクリックするか、こちらからご覧ください。

研究室の紹介ムービー


40秒紹介ムービー


スタッフからのご挨拶(2023年)

研究室のロゴについて

CAREラボのロゴ

ビット (Bits) で彩られたリアリティが人を優しく包む、ひとりひとりに寄り添った「パーソナライズドリアリティ」のコンセプトを表現しています。

清川の活動ダイジェスト

清川の活動を超コンパクトにかいつまんでいます。1994年から拡張現実やバーチャルリアリティの研究をしていて、近年はそれらをベースにした人間拡張の研究に興味を持っています。単に基礎的なAR研究・VR研究をしっかりするだけではなく、これらの技術やこれらをベースとする周辺技術が一体となって社会全体を変革していくこと、それによってひとりひとりの人間がより生き生きと生きていけることに強い関心を抱いています。

なお、清川の研究業績や社会貢献の一覧は こちら をご覧ください。

  • IEEE VGTC VR Awards をトリプル受賞しました(2022.03)
    清川のバーチャルリアリティ(VR)および拡張現実(AR)に関する数々の先駆的な研究業績に対してIEEE VGTC VR Technical Achievement Awardが授与されました。また同分野の学術コミュニティの運営に対する長年の貢献に対して、2022年に創設されたIEEE VGTC VR Service Awardが授与されました。さらに、これらの業績により、IEEE VGTC VR Academyの創設メンバーに選出されました。これまでの活動に対して、世界中の研究仲間から評価いただいたことは大変光栄なことです。今後もさらに精進いたします。
  • IEEE VR 2019 トップカンファレンス開催報告 (2019.09)
    18年ぶりに日本で開催されたバーチャルリアリティ分野のトップカンファレンス IEEE Virtual Reality and 3D User Interfaces (VR) 2019 の報告記事です (p.5〜p.7)。清川は大会長を務めました。天下の台所大阪を代表する商店街、黒門市場を貸し切ってのイベント 大阪グルメナイト などで世界中の研究者をおもてなししました。
  • 「VRの歴史は意外と長く、学生たちは失禁やもちもち感を再現する」 (2018.08)
    デル社が立ち上げた産業向けVRの普及を推進する組織「VR研究会」での講演内容です。1980年代からの日本のバーチャルリアリティの歴史や1996年に発足した日本バーチャルリアリティ学会の活動などを短くまとめています。
  • 「現実感を操作して新しい能力を創る」 CAREラボ研究室紹介, NAIST Edge (2017.07)
    CAREラボ設立当初の研究室紹介記事です。EdgeはNAIST情報領域の教員がリレーで研究を紹介するウェブメディアです。
  • バーチャルリアリティ技術・夢ロードマップ「バーチャルリアリティが拓く生きがいのある社会」 (2013.12)
    日本VR学会で活躍する若手メンバーが中心となって議論して創り上げた、2040年までの技術ロードマップです。VRやAR技術が進展することで、時間や距離、個人の能力を制約とせず、誰もが社会と接点を持ち、それぞれの能力を最大限に発揮して貢献することが可能となり、生きがいのある社会を創ることができる、と謳っています。「現実感を操作して新しい能力を創り、人を幸せにする」という当研究室のミッションは、清川がたまたまこのロードマップをとりまとめる立場にあり、その趣旨に強く共感したことから生まれたものです。
  • 日本VR学会誌巻頭言「肉食系国際交流のススメ」 (2013.12)
    もっと気楽かつ積極的に国際交流しましょうという、主に学生向けのメッセージです。
  • 日本VR学会10周年記念シンポジウム「VRの未来を語る」 (2006.09)
    日本VR学会10周年記念特集「『バーチャルVR』〜バーチャル化するVR技術」 (2006.09)
    「バーチャルリアリティ」の定義は「見かけや形は現実そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であること」であり、簡単に言えば「現実のエッセンス」です。これに倣って清川は、「見かけや形はVRそのものではないが、本質的あるいは効果としてはVRであること」、「VRのエッセンス」を備えた技術を「バーチャルVR」と定義し、今後は「バーチャルVR」が広まるだろうと予想しました。今日のXR関連技術の発展を予見したものと言えるかもしれません。
  • ISMR ’99参加報告 (1999.06)
    清川が懇意にしていただいているトロント大学のMilgram先生らが複合現実 (Mixed Reality, MR) の概念を提唱したのは1994年ですが、その内容をきちんと伺ったのはこの会議が初めてだったかもしれません。清川がAR, MR, VRの大きな可能性に改めて気付かされ、その後抜け出せなくなるきっかけとなったイベントでした。なお、本来の定義では、拡張現実 (AR) と拡張仮想感 (Augmented Virtuality, AV) を合わせたものが MR で、VR は MR には含まれません。
  • “VLEGO: A Simple Two-handed Modeling Environment Based on Toy Blocks”(preprint/ACM DL), ACM VRST 1996 (1996.07)
    1994年に2期生としてNAISTに入学して、D1になった清川がほぼ初めて国際会議で発表したのがこれでした。研究内容はレゴを模した操作方法で誰でも空中でデザインできるVRデザインツールです。香港で美味しいものをたくさん食べて、研究者ほど楽しい職業はないと悟った?騙された?思い出深いイベントです。
  • つくば科学万博 富士通パビリオン (YouTube動画/技術資料) (1985)
    つくば科学万博の富士通パビリオンで見た全天周立体映像「ザ・ユニバース」は清川の人生を変えました。間違いなく、バーチャルリアリティを志すきっかけになったと思います。
  • 大阪市立電気科学館 プラネタリウム (1973?-)
    現在の大阪市立科学館の前身は大阪市立電気科学館で、その6階に日本初のプラネタリウムがありました。恐らく3才ころから通い詰めて何度見たか分かりません。自律性、対話性、臨場感を備えるプラネタリウムは世界最古のバーチャルリアリティシステムといえます。

AR・VRの関連書籍・資料

拡張現実

当研究室に関係する拡張現実(Augmented Reality, AR)関連の書籍や資料を紹介します。なお、ARとは Thomas P. Caudell が1990年に命名した技術です。頭部の位置を計測し、ヘッドアップディスプレイを用いてユーザの視界を情報で「拡張」するものとして名付けられました。Ronald Azuma は1997年に、1) 現実とバーチャルの合成、2) 実時間のインタラクション、3) 3次元的な位置合わせ、の3つの要素を備えたものをARと定義しました。

  • 「ARの教科書」(マイナビ出版)
    ARの教科書

    拡張現実のことを学びたい方はまずこれを読むことをお勧めします。アマゾンの評価もかなり高いです。清川が原書のテクニカルレビュワーを担当し、当研究室の酒田准教授や学生が翻訳に協力しました。
  • Augmented Reality – Theory, Design and Development (McGraw-Hill)
    Augmented Reality - Theory, Design and Development

    英語で拡張現実のことを学びたい方は、2020年8月に刊行されたばかりのこちらの書籍もお勧めです。自分で手を動かす人のための情報が極めて豊富に載っています。まだAmazon Indiaでしか入手できないかもしれませんが5つ星の高評価です。当研究室の客員研究員 Chetankumar G. Shetty が執筆し、清川はテクニカルレビュワーとして協力しました。
  • 「AR(拡張現実)技術の基礎・発展・実践」(科学情報出版)
    AR(拡張現実)技術の基礎・発展・実践

    拡張現実のことを学びたい方にはこちらもオススメです。理論をしっかり踏まえつつ、手を動かしながら理解できる実践編も充実しています。いかんせん、高いのですが…。清川は編者のひとりとして協力しました。

バーチャルリアリティ

当研究室に関係するバーチャルリアリティ(Virtual Reality, VR)関連の書籍を紹介します。なお、VRは Jaron Lanier が1987年に命名したと言われています。実際にはそれ以前にも使われたことのある言葉でしたが、Lanierが広めたことは確かでしょう。日本バーチャルリアリティ学会では、The American Heritage Dictionary における “virtual” の定義に倣い、「みかけや形は現実そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であること」をVRの定義としています。同学会の舘暲初代会長は、VRの3要素として「3次元空間性」、「実時間相互作用性」、「自己投射性」を挙げています。また、David Zeltzerは1992年に、自律性(Autonomy)、対話性(Interaction)、臨場感(Presence)の3つの要素を完全に備えるものを究極のVRとしています。

  • 「バーチャルリアリティ学」(コロナ社)
    バーチャルリアリティ学

    バーチャルリアリティのことを学びたい方はまずこれを読むことをお勧めします。日本バーチャルリアリティ学会の総力を挙げて執筆しました。清川も一部担当しました。
    なお、日本バーチャルリアリティ学会では、この書籍を教科書として、VR技術者認定試験を実施しています。ぜひ、しっかり学んでいただき、VRを正しく修得した証を手に入れてください。2020年度はコロナで不開催となっていますが、再開を検討中です。

AR/VRコンテンツ制作ガイドライン

  • AR等のコンテンツ制作技術活用ガイドライン
    VIPO(ヴィーポ、映像産業振興機構)が経済産業省の支援を受けて作成した「AR等のコンテンツ制作技術活用ガイドライン」です。清川は同ガイドラインの検討委員会に参画して内容の検討に協力しました。同ページから「VR等のコンテンツ制作技術活用ガイドライン2018」を改訂した内容もご覧いただけます。これらは、これから拡張現実やバーチャルリアリティ関連の事業を始める方々を想定しており、入門書の位置づけとなっています。

研究パートナー

当研究室では、学外の様々な企業、大学、研究機関と協力関係にあり共同研究などを進めています。以下に一部を示します。